北海道利尻島

『植物学雑誌』に掲載された「利尻島に於ける植物分布の状態」を読んでから、ずっと利尻に行きたいと思っていた。

山岳会の会員で、高山植物の採集に熱心な加藤泰秋が利尻での同行者を探しているとの知らせを受け、すぐさま立候補した。同行の条件として提示されたのは紀行文を書くことだった。

ところが、植物の採集に夢中になりすぎて、道中の様子や山の様子を記録するのが難しかったらしく、なかなか執筆が進まなかったと『利尻山とその植物』という文章で白状している。

この文章が山岳会の雑誌に掲載されたのは、利尻を訪れてから３年後のことだった。