東京都

同郷の佐川出身で東大の法学教授をしていた土方寧は、困窮するまきのさんに同情し、東大総長・浜尾新に、『日本植物志図篇』を見せ、給料を上げてほしいと掛け合ってくれた。

まきのさんの仕事に感心した浜尾総長は、大勢いる助手の中で、まきのさんにだけ給料をあげることは難しいため、特別に仕事を与えることで給料を多く出す配慮をしてくれた。大学紀要の一部として費用を支出し、大学から『大日本植物志』の出版を計画し、担当をまきのさんに指名してくれたのだった。

総長の厚意に感激したまきのさんは、「日本人はこれ位の仕事が出来るのだということを、世界に向かって誇り得るような立派なものを出そう」と決意して取り組んだ。