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本と顕微鏡が
欲しくて初上京
東京都
本を購入して植物を調べているうちに、もっと多くの専門書や顕微鏡も欲しくなったまきのさんは東京で開催されていた第2回内国勧業博覧会の見学もかねて初上京。
当時、東京へ行くことは外国へ行くようなものだったので盛大な送別会があった。実家の番頭の息子と、旅行の会計係に実直な男と三人で佐川を出発した。高知から船で神戸へ行き、汽車に乗り換え京都へ。京都から四日市まで歩き、汽船で横浜に。横浜から汽車で東京に到着した。その間、見慣れない植物は茶筒に入れて故郷に送り植えてもらった。
勧業博覧会は、ウィーン万博を参考に大久保利通が推進した。まきのさんが参加した第2回内国勧業博覧会は、上野公園で4ヶ月にわたって開催され、来場者は82万人だった。
勧業博覧会を見学し、本を購入し、顕微鏡を購入したまきのさんは、文部省の博物局に訪問。博物局では、小学校で興味をもった『博物図』の編集者・小野職愨(もとよし)や、東京国立博物館や上野動物園を設立した田中芳男に会い、小石川植物園を案内してもらった。また、珍しい植物のある植木屋を紹介してもらい、さまざまな植物を購入した。
博物局で会った小野職愨は、まきのさんが植物の名前を覚えた本『本草綱目啓蒙』をつくった小野蘭山のひ孫。