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東大に辞表を
つきつける
東京都
『東京朝日』にこのような記事が掲載された。
四十七年勤めて月給七十五円
東大を追われた牧野博士
深刻な学内事情の真相をあばく
もともとまきのさんは後進に道をゆずるため、講師を辞任する考えを示していた。ところが、東大の理学部長は代理の者をまきのさんのもとに使わせ、「辞表を出したいと言っていたが、大学も待っているから、早い方がいいので今日辞表を出してほしい」と伝えた。失礼な態度にまきのさんは憤慨し、さっさと辞表を出してしまった。
大学を辞めても、まきのさんは研究を続けた。「私にこれから先に課せられた大きな仕事は二つある。一つは私が蒐集した膨大な標品の整理であり、もう一つは『日本植物図説』の刊行である。」と辞めたあとの目標を書いている。
